部活紹介

23期 ネコヲタ(愛猫推進)部

猫ともっと仲良く、もっと安心して暮らすために

猫と暮らしている方、これから迎えたい方──
猫を愛してやまない部員の皆さんと一緒に、猫の健康や暮らしの工夫を学びながら、安心して共生できる知識を育む講座です。

Report 活動レポート

  • 第1回

    公式ブログでは、活動の様子を楽しくレポートしています。こちらもぜひご覧ください♪

    「まずは猫を知ることから」
    ――健康に生活してもらうために知っておきたいこと

    初回は、これから一緒に活動する仲間たちとの自己紹介から。
    それぞれの環境や、猫を飼うようになったきっかけなどを共有し、交流を深めました。
    講座は、申し込み時に寄せられた質問に獣医師の中岡先生が一つひとつ答える形で進行。
    食事・病気・予防・行動など、日常の不安や疑問に寄り添う内容となりました。

    「食べない」が心配なときに知っておきたいこと

    「食欲がない」「好みがコロコロ変わる」「もともと、うちの子あんまり食べないけど大丈夫?」
    ──そんな悩みを持つ飼い主さんは多いもの。
    中岡先生によると、“食べ方の個性”を理解することが第一歩だそうです。

    |「みんな違って、みんないい」(中岡先生)

    年齢や性格、環境によって食べ方も違う。日ごろの食欲や排せつの状態を把握しておけば、“その子らしさ”が見えてきます。

    また、食欲が落ちたときは体調不良のサインかもしれません。

    <考えられる原因例>

    • 内科的な問題(腎臓・肝臓・消化器の病気など)
    • 神経的な不調(めまい、前庭疾患?)
    • 外科的な痛みや違和感
    • 精神的ストレス(環境変化、新入り猫など)
    • 口腔疾患(歯や歯ぐきの痛みなど)
    自己判断せず早めに動物病院へ

    フードの成分表を見直しや、療養食を選ぶときも、獣医師と相談しながら進めましょう。

    強制給餌が必要な場合のヒント

    「少しずつ」「声をかけながら」「褒める」を意識すると、ストレスを軽減できます。

    フード選びに迷ったら ― 成分表の見方と考え方

    フード選びは多くの飼い主さんの悩みどころ。
    「何が良くて、何が悪いのか」「どんなフードがうちの子に合うのか」。

    講座では、成分表(原材料・保証成分値)の見方を学びました。

    • 「総合栄養食」か「一般食」かを確認
    • 体調管理とその子に合うフード選びを
    • 「自然素材」などの言葉だけに惑わされない
    • 原材料と保証成分値を総合的にチェック
      (香料・着色料が多い、原材料が不明瞭な商品は避けると安心)

    |基本は「身体は食べた物でできている。人も猫も同じ」(中岡先生)
    食後の様子、便の状態、毛づやを観察しながら、体に合うフードを少しずつ見つけましょう。

    知っておきたい猫の病気

    内臓・外科・皮膚など、猫に多い病気の特徴を丁寧に解説。さらに「猫エイズ(猫免疫不全ウイルス:FIV)」についても詳しく学びました。

    「猫エイズ(FIV)」の基礎知識

    「猫エイズ」と呼ばれる病気は、猫後天性免疫不全症候群のことで、猫免疫不全ウイルス(Feline Immunodeficiency virus:略してFIV)に感染することで起こるさまざまな症状を合わせた総称です。猫同士で感染するウイルスで、人にはうつりません。FIVは、猫の免疫を司るリンパ球などに感染し、免疫力をゆっくりと低下させていくのが特徴。
    すぐに発症するわけではなく、長い無症状の時期を経て、体調を崩しやすくなる猫もいれば、一生発症せず元気に暮らす猫も多くいます。

    感染のしくみと予防のポイント

    感染経路の多くは、ケンカによるかみ傷や血液・唾液の接触。外でのトラブルや交尾、母子感染で広がるケースもあります。

    そのため、

    • 完全室内飼いを徹底すること
    • 新しく猫を迎えるときに血液検査を受けさせること

    が、最も確実な予防法です。
    また、複数飼いの場合は、先住猫・新入り猫双方の検査結果を確認し、直接接触を避ける環境づくりが安心です。

    感染後の経過とケア

    感染すると、

    1. 急性期(一時的な発熱やリンパ節の腫れ)
    2. 無症状期(数年~十数年にわたり元気に過ごす)
    3. 免疫不全期(口内炎、皮膚炎、体重減少などの症状)

    という段階をたどることがあります。
    ただし、これはあくまで一般的な経過で、感染=発症ではありません。日々の健康管理やストレスの少ない生活で、長く穏やかに暮らすことができます。

    中岡先生からは、
    |「FIV陽性でも、適切なケアで“普通の猫生”を全うする子がたくさんいます」
    という言葉もあり、参加者の不安が和らぎました。

    検査と今後の治療の可能性

    猫免疫不全ウイルスの抗体検査は、動物病院で簡単に受けられます。感染の有無を知ることが、猫と安心して暮らすための第一歩です。
    現時点では完治させる治療法はありませんが、研究は進んでおり、将来的には治療法が確立される可能性もあります。だからこそ、正しい知識と冷静な判断が何よりの支えになります。

    私たちができる日常のヒント

    • 定期的な健康診断(特に7歳以上)
    • ワクチン接種
    • 食事や排せつ、体重の変化の把握
  • 第2回

    「猫を愛でる」
    ――アートで学ぶ、彩りと健康の時間

    第2回は、アートとヘルスケアの両面から、猫との暮らしを見つめ直す時間になりました。
    講師は獣医師の中岡先生に加え、カラーコンサルタントの久保田みき先生。色と感性、テクノロジーを掛け合わせたユニークな体験が広がりました。

    スマホで楽しむ“猫アート”体験

    前半は、久保田先生のアートワーク。「カラープライマリー」代表として、色彩心理と色の調和をベースに活動する久保田先生は、以前「あ!めいじんぐ倶楽部 ココロカラフル部」にも登場された人気講師です。

    世界の名画風ニャンコをつくろう

    AIツール「ChatGPT」を活用して、愛猫を“世界の名画風”に仕上げるワークを体験。
    各自が用意した愛猫の写真をもとに、先生のアドバイスで“プロンプト(指示文)”を作成します。

    |「猫の毛色や表情、背景の雰囲気を言葉で指定するのがコツですよ」(久保田先生)

    迷ったらその場でサポートを受けながら、個性豊かな作品が次々完成。「ゴッホ風のうちの子!」「モデルみたい!」と笑顔が広がりました。

    オリジナルLINEスタンプ制作

    続いてのテーマは、愛猫のLINEスタンプづくり。公式アプリ「LINEスタンプメーカー」を使い、スマートフォンの写真や動画から自分だけのスタンプを作成しました。
    テンプレートや文字入れ機能も充実し、「毎日使う“うちの子スタンプ”が簡単に作れる!」と好評。

    |「自分で使う分には無料、家族や友人に使ってもらうときは“プレゼント”登録を」(久保田先生)

    デザインの精度を上げたい方にはCanva(キャンバ)を使ったアレンジも紹介。
    プロのような仕上がりに挑戦する参加者も!

    さらに、目的をもった写真の撮り方についても教わりました。

    写真撮影のコツ
    • 構図を意識(目線・三分割・余白)
    • 雰囲気を演出する(背景・光・小物)

    愛猫への愛情がそのまま形になる楽しい時間となりました。

    猫の“シニア期”に備える健康チェック

    後半は中岡先生による「猫の健康」講座。
    猫は7~8歳頃から体の変化が現れやすくなります。人間でいうと中年期にあたるこの時期からは、年1回の定期検診が推奨されました。

    定期検診でできる主な検査
    検査項目 内容 チェックできること
    A:一般血液検査 0.5ccの採血で実施可能 貧血・感染症・栄養状態
    B:生化学検査 同上 腎臓・肝臓・心臓の機能
    C:ホルモン検査 必要に応じて実施 甲状腺・副腎など
    D:レントゲン 画像検査 骨・心臓・肺など
    E:エコー 超音波検査 腫瘍・結石・臓器の動き
    F:CT・MRI 詳細検査 難診断疾患の確認

    |「A・Bは日常検診として受けやすい検査です。
    |数値に変化があった場合、C以降の精密検査を行う流れになります」(中岡先生)

    特に*SAA(炎症反応)*の数値が高い場合は、「追加で調べてください」と、飼い主から伝えることが大切とのこと。

    猫の“トイレチェック”が健康のカギ

    泌尿器系の病気(尿路結石症、膀胱炎、慢性腎臓病など)は猫に多く見られます。

    |「オシッコの様子を日常的に観察できるのは、飼い主さんだけです」(中岡先生)

    以下のような変化が見られたら要注意です。

    • オシッコの回数や量が減った・増えた
    • 色が濃い/薄い
    • キラキラした粒が見える(結晶の可能性)

    おすすめの工夫

    • ペットシーツを使うと、尿の色や量の変化が一目でわかりやすい
    • トイレ後の動作、カキカキ時間、嘔吐の様子なども観察ポイント
    • 「おかしいな」と思ったら、迷わず病院へ

    |「可逆的な段階(元に戻せる段階)で気づけるかが、命を守るカギになります」(中岡先生)

    サプリメントで支える“毎日のケア”

    中岡先生からは、健康維持に役立つサプリメントも紹介。

    サプリメント 主な成分・効果
    マイタケエキス βグルカン・食物繊維/腫瘍抑制・便通改善
    アンチノール モエギイガイ抽出オイル/抗炎症作用
    FK 乳酸菌/腸内環境改善・免疫強化
    ジルケーン 天然成分由来/精神安定・リラックス効果

    ※サプリではないが、乾燥エノキの肝胆サポート効果の話題も。
    サプリメントはあくまで補助的なものですが、「体質に合えば、シニア期の不調を和らげるサポートになります」と先生。

    愛猫との時間を“アート”で豊かに

    AIアートやLINEスタンプづくりを通して、「うちの子をもっとかわいく」「もっと理解したい」という思いがあふれた第2回。
    久保田先生のワークと、中岡先生の医学的な視点が交わり、心も暮らしも“猫色”に染まりました。

  • 第3回

    「猫オタクを広げて、さらに深掘りしよう」
    ――猫と人、そして社会をつなぐ最終回

    3か月にわたって開催されたネコヲタ(愛猫推進)部も、いよいよ最終回。この日は「猫の行動学」「猫問題は社会の問題」をテーマに、講義というより茶話会スタイルで、先生も参加者もざっくばらんに語り合いました。

    みんなはどうやって猫と遊んでいるの?

    最初の話題は「猫との遊び方」。
    猫じゃらし、ボール、かくれんぼなど……猫の遊びには、狩猟本能を満たす大切な意味があり、運動不足を防ぎ、ストレスを解消し、健康維持にもつながります。

    猫は「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」といって、明け方や夕暮れなどの薄暗い時間帯にもっとも活動的になります。

    |「夜中に走り回るんですけど……」
    という声が多く聞かれましたが、これは猫の本能によるもの。

    昼間は飼い主が不在で寝ているため、夜になるとエネルギーを発散するのです。
    帰宅後すぐに少し遊んであげるなど、人の生活リズムを工夫することで改善することがあります。

    愛情のサインを受け止めて

    猫は言葉を話せませんが、たくさんの方法で“愛”を伝えています。

    • 頭や顔をこすりつける(信頼と安心)
    • 額をゴツンと当ててくる(仲間の証)
    • グルーミングしてくれる(親愛の行動)
    • お腹を出して寝転ぶ(無防備な信頼)
    • 前足でふみふみする(子猫の名残の甘え)
    • 喉をゴロゴロ鳴らす(満足のサイン)
    • お風呂やトイレについてくる(安心感の裏返し。ただし分離不安には注意)
    • ゆっくりまばたきする(「大好き」のサイン)

    |「叱ることに意味はありません」(中岡先生)

    “なぜそうしたのか”を探ると、その行動の裏に常同障害(同じ行動を繰り返す)や葛藤、ストレスなど、心の不安が隠れている場合もあります。

    問題の行動を“やめさせる”より、しないで済む・しても困らない環境づくりを。飼い主と猫の“知恵比べ”のようなつもりで工夫してみてくださいね。

    投薬と歯みがき ― ケアの時間も信頼づくりのひとつ

    飼い主さんが悩みがちな投薬や歯みがきのコツを実演付きで紹介。

    なかなか飲んでくれない時の工夫

    1. 口を軽く押さえ、鼻先に息を吹きかける
    2. 少量の水を口の中に入れてる
    3. 2人で行う場合は、役割分担
    4. ふせをさせるように持つ
    5. タオルで包む
    6. 薬にオイルやペースト状のおやつをまとわせる

    焦らず、できたらたっぷり褒めてください。ケアの時間は“嫌なこと”ではなく、“信頼を深める時間”です。

    猫問題は、社会の問題でもある

    後半では、中岡先生が代表を務める一般社団法人 猫達の命をつなぐ会の活動を紹介。
    「飼い主のいない猫を減らす」「高齢の方が関わる猫たちの命を、次の世代へつなぐ」こと。どちらも“人と猫の共生”を守る活動です。
    高齢者による多頭飼育崩壊など深刻な問題も増えています。そこで、

    • 65歳以上の高齢者世帯への不妊・去勢手術の無料提供
    • 猫が増える前に“蛇口を締める”という考え方
    • 高齢者が孤立せず、社会とつながる機会づくり

    といった取り組みを進めています。

    猫と人、地域が支え合う社会へ

    神奈川県平塚市の考え方も紹介されました。
    「猫を好きな人が世話を受け持ち適正に管理し、猫嫌い・無関心な人は、地域の問題として支援、または見守る」
    猫に対する感情は人それぞれ。
    猫に対する感情は、人により様々です。猫が好きな人はルールを守ってきちんと管理をし、嫌いな人や無関心な人は、野良猫のための活動ではなく、地域のための活動と理解することが重要です。

    サポーター募集 ― “できることから”で大丈夫

    猫達の命をつなぐ会」では、ボランティアサポーターを募集中。お話を聞くだけ、搬送を手伝うだけ──小さな関わり方でも大歓迎だそうです。

    そして卒業へ

    3回を通して、猫好きさん同士のつながりができ、猫を知り、愛し、社会の中での関わり方を考える時間となりました。
    「これからも、猫を愛する仲間として“優しい共生の輪”を広げていきたい」──そう思える充実の3か月でした。

Join us 募集要項

第23期「ネコヲタ(愛猫推進)部」募集要項

活動内容
ネコ講座3回(ワークショップ・SNS発信などでの発信)
  • 獣医師による講座、グループワークに参加できます)
    猫との暮らし100の疑問Q&A/うちの子アート制作/ごはんの選び方/推し猫トークなど
応募条件
  • ネコと暮らしている、これからネコを迎えたいと考えている方
  • 福岡県近郊にお住まいで、全3回に参加できる方
  • 「ネコヲタ(愛猫推進)部」部員として、仲間と楽しく活動できる方
  • 公式ブログの記事やSNSを通じて、学んだ内容を発信していただける方
  • パソコンやスマホの基本操作、メールでのやり取りが可能な方
活動日
全3回 10:30~12:30
2025年 8/19(火)・9/24(水)・10/22(水)
会場
株式会社明治産業・会議室(福岡市中央区薬院1-14-5MG薬院ビル4F)
https://www.meiji-sangyo.co.jp/
募集人数
10名程度(応募多数の場合は抽選になります)
参加費
2,000円(3回)
※参加費は、災害復興のための資金として寄付いたします。
応募方法
応募フォームよりお申込みください。
締め切り
2025年7月31日(木)当日まで

Teacher 講師紹介

中岡典子先生
/獣医師
1994年福岡市西区でマリーナ動物病院を開院、院長として28年間診療に携わる。福岡県獣医師会「いのちをつなぐ委員会」委員長として、お家のない猫の不妊去勢手術を進める「あすなろ猫事業」や、命と共生を考える「共に生きようプロジェクト」を企画・実施。病院を事業継承した現在は、西公園・相島・小呂島などでお家のない猫たちの治療や人と猫の共生をテーマに、高齢者支援や地域福祉と連携したボランティア活動を行っている。趣味は、SUP、登山、ジャズ、料理、そして猫を大切にすること。

お問合せ先

株式会社明治産業
〒810-0022 福岡市中央区薬院1-14-5 MG薬院ビル4F
TEL:092-736-7711 FAX:092-736-7714
Eメール:amazing-club@meiji-sangyo.co.jp
担当:田邉(たなべ)